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OBIC7徹底解説

皆さん大好き国内ERP製品で最強のOBIC7について徹底解説していきたいと思います。

ERP製品というと国内製品や海外製品を含めると星の数ほどありますが、中堅企業から大手企業を対象としたERP製品で25,000社を超える導入実績があるERP製品もそんなに多くないのではないでしょうか?

そんなOBIC7はどんな特徴があるのか、導入する企業のメリットやデメリットなどを徹底解説していきますので、最後までどうぞよろしくお願いいたします。

統合業務ソフトウェア「OBIC7」の歴史

オービックは創業時より三菱のオフコンを積極的に販売していた経緯もあり、ハードウェアの知識とオフコンの業務プログラム開発知識、業務知識を蓄積していた。

1990年代のMicrosoft Windowsの波に乗り、オフコンからオープンシステムへ軸足をシフトしていった。

そして、今まで蓄積していた業務知識をパッケージ化すべく、1997年に最初のパッケージが誕生したのが始まりだ。

当初は中小企業向けにAccess2.0で開発され、販売システムは「OB販売」、会計システムは「Fips」という名前で販売された。

開発言語も高等言語のVB.netへ変わりOBIC7へと変遷していく。

いち早くオープンパッケージ化に成功したオービックは、中小企業から中堅・大手企業向けに更なる高機能パッケージ「OBIC7ex」を発売。

しかし「OBIC7ex」は、高機能ゆえに膨大なプログラムとなり、当時のインフラでが処理速度などカバーできず、収束に向かう。

数年後、その経験を糧にシンプルな設計・ユーザーにとって使いやすい製品を目指すべく、新しいOBIC7はリリースされる。

それが2008年に開発基盤を一新してリリースされた「OBIC7fx」である。この頃から「OBIC7共通基盤」が実装され、マスター登録などの重複作業はなくなった。

その後、数回のマイナーバージョンアップを経て、現在は「OBIC73.0版」としてリリースされている。

初版が1997年にリリースされて、現在まで26年間続いている老舗ERPである。

国内有名電気メーカーのERPよりも歴史が長い。それが「OBIC7」という製品の歴史だ。

「OBIC7」のラインナップ

主要なラインナップは以下の通りだ。

①会計業務

財務会計、管理会計、原価管理、固定資産、連結会計、債権管理、債務管理

➡ クライアントサーバーモデル

②給与業務

給与基本、一時金、汎用振込、生損保データ連携、配賦仕訳、退職金管理、貸付金管理

➡ クライアントサーバーモデル

Mail配信/Web参照オプション

➡ Webモデル

③人事業務

人事基本、人事考課、異動シミュレーション

➡ クライアントサーバーモデル

Web社員照会、諸届ワークフロー

➡ Webモデル

④販売業務

販売管理

➡ クライアントサーバーモデル

⑤生産業務

生産管理

➡ クライアントサーバーモデル

⑥就業業務

打刻、勤務申請ワークフロー、勤務状況照会

➡ Webモデル

シフト管理、実績管理、休暇管理

➡ クライアントサーバーモデル

これらのOBIC7シリーズはOBIC7共通基盤と呼ばれる管理基盤で動作するように設計されている。

例えば企業が会計・給与・人事システムを導入したとする。

一般的な国内ERPはそれぞれのシステムでマスタ設定やセキュリティ権限など設定なくてはならない。

商談時には見落とされがちだが、いざ導入した時に各システムに重複した作業を延々とする大変さを経験した担当者も多いのではないか。

これらの作業を少しでも解消すべく、OBIC7共通基盤で一括メンテができるようになっており、その情報が各システムに反映される仕組みになっている。

販売業務・生産業務においては、業種や業界の色が分かれるので、オービックでは業種業界に特化したソリューションを用意している。

もちろん業種業界に特化したソリューションも先ほどのOBIC7と連携も可能である。

代表的な業界別とシューションとしては、ビルマネジメント・ビルメンテナンスなどの不動産業界や商社、建設、金融業界向けのソリューションなどがある。

ただし、業種業界に特化したソリューションはOBIC7とは別に開発されている経緯もあり、OBIC7の開発基盤と異なる場合があるので、既存のOBIC7と連携する場合にはバージョンの確認が必要である。

とは言っても、それらの組み合わせはオービックのSEが確認・調整してくれるのでユーザー側が心配する必要はない。

クラウドセンター

現在OBIC7はクラウド提供が主流である。

OBIC7はクラウドセンターで管理され、契約企業のユーザーは社内LANからインターネット経由でクラウドセンターに接続してOBIC7を利用する。

先ほどの「OBIC7」のラインナップで紹介した通り、OBIC7にはクライアントサーバーモデルの製品とWebモデルの製品がある。

したがって、接続方法は2種類ある。  

①クライアントサーバーモデルの製品を利用する場合には、利用者のWindowsPCに標準提供されている「Microsoft RemoteApp」を起動してクラウドセンターへ接続し、仮想クライアント内にあるアイコンをクリックしてOBIC7を立ち上げ利用する。自分が使っているWindowsの画面の中にもうひとつWindows画面現われるイメージと言えば分かりやすいだろうか。

②Webモデルの製品を利用する場合は、利用者のWindowsPCでブラウザ(Microsoft EdgeやGoogle Chromeなど)を立ち上げ、URLを入力し、ログイン・パスワードを入力してOBIC7を利用する。もちろんマルチブラウザ対応である。家のPCから接続できるか否かについては、契約企業の判断によるがオービックは社内LAN経由での接続を推奨している。

OBIC7のクラウドセンターは自前のセンターではないものの、管理運営はオービックの社員がすべて行っているので、インフラでたらい回しにされることはない。

また、データセンターの品質や付帯設備の格付けも最高ランクの「ティア4」を取得している。

これがクラウド利用の重要なポイントだが、OBIC7は完全にプライベートクラウドとして契約企業に提供される。

一般的なパブリッククラウドのように他社と同じインスタンスで稼働するわけではないのでセキュアは高く、インフラのスペック(メモリ・ディスク)も企業ごとに指定できる点が良いと言える。

ただし、そのぶんAWSなどのPaaSと比較しても費用は高いだろう。

ここで一旦まとめる

オービックが提供するソリューションはERPとして必要なモジュールはすべて揃えられており、更に業種業界ごとのソリューションがある

それらのソリューションは基本的にクラウドで提供されるので、ユーザー側でインフラを管理する必要は特にない。

クラウドデータは1社ごとのプライベート領域で管理されているので、セキュリティは高い。

一方でアプリケーション技術という点では、旧式のクラサバベースであり、決して最新とは言えない。

ERPの中心は、なんといっても会計! その機能はいかに?

ERPは、売上・仕入れ・入金・支払いというすべての金銭取引データが会計につながるように設計されている。

だから、この会計システムをみればそのERPの力がおおよそ理解することができる。

OBIC7会計情報システムは、財務会計を中心に管理会計、固定資産、債務支払い、手形、連結会計など

企業会計業務をほぼ網羅しているのが特徴である。

たまに固定資産や連結会計などのソフトを持たず、別会社のソリューションと提携しているERPもあるが、オービックはそうでなはい。

加えて、主要な財務会計、管理会計、固定資産などの機能は大手企業でも十分満足できる内容となっている。

例えば、財務会計の勘定科目体系を例にとっても一般的には総勘定科目・補助科目の2階層がほとんどだが、

OBIC7の場合は総勘定科目・補助科目・補助内訳科目の3階層となっている。

これにより仕訳データをより細かく分析できるように科目体系が用意されている。

あまり目立たないが、実務レベルでは非常に有効でなのだ。

新年度の組織改正や担当者変更など毎期多く発生するマスター変更だが、OBIC7では取引先コードや科目コードなど

主要なマスターは新しいコード体系に変える際、上書きではなく、内部で時系列管理されている。

したがって、過去の帳票を出力したい場合に、その会計期間のマスター情報が呼び出され、

当時の組織・科目体系の内容で出力することができる。

この機能、最近では似たような機能を他社も追加してきたが、実はオービックはこれらの機能の特許を持っている。

このように、一言で「財務会計システム」といっても、実は各社によってできる内容の範囲や深さが異なるので

選定される際は注意して確認した方がいい。

このように財務会計だけでもかなりの特許を持ち、同様に管理会計・固定資産、人事システム、給与システムなども

かゆいとこに手が届く機能が散りばめられている。

国内ERP市場をみてみると、ERPとしてまんべんなく製品をもってはいるものの、それぞれの製品機能にばらつきがある場合が多い。

例えば、富士通のGLOVIAは、会計システムは機能として申し分ないけれど、

人事システム・給与システムはユーザーの満足度が高くないではないだろうか。

OBIC7はそれがなく、どの製品もまんべんなく強いのが最大の特徴である。

なぜ、どの製品もまんべんなく強いのか?

それは、製品開発体制にあると考える。

ERPメーカーというのは、一般的に代理店制度をとっている。

代理店制度には良い面もあるが、悪い面もある。

一番の悪い面は、なんといってもERPメーカーが顧客の苦情や要望を直接聞くことがほとんどない。

顧客の苦情や要望は一旦代理店に届き、代理店の担当者が検討の末、ERPメーカーに連絡する流れになる。

当然生の声は届くことはなく、代理店の担当者によって内容が書き換わったり、タイムラグが生まれるので、正しい情報が届かない。

これは、日本企業の経営管理の課題と同じである。

しかし、オービックはそこが他社と違い、完全直販体制なのだ。

自分達でマーケットを開拓し、自分たちで納品し、自分たちでサポートする。

したがって顧客の声はダイレクトに届き、その声が社長はじめとする役員や製品開発部門にまですぐに届くのである。

届いた情報は、要望数や優先度によって機能強化されていく。

だから痒い所に手が届く機能が充実していくのである。

しかし、この方法は一足飛びにできない。

オービックも30年かけてできた仕組みであり、その年数分のノウハウが蓄積されている。

故に他社がまねできないのだ。時間をかけレバレッジを効かせた経営の凄味だろう。

オービックの死角はないのか?

死角は2つある。

1つは、ソフトウェアメーカーなのに最先端技術に弱い、ということだ。

1990年代のクライアントサーバー時代、2000年代のWebコンピューティング時代、2010年代のクラウド・コンピューティング時代という変遷を見てもわかるが、いまだにOBIC7はクライアントサーバー時代の延長にいる、という事だ。

2つ目は、顧客の価値観が変わればビジネスモデルが通用しなくなく可能性がある、という事だ。

オービックは「ワンストップソリューションでお客様の課題を解決します」と宣伝している通り、我々にインフラからアプリケーションまですべてお任せください!、と伝えているのだ。もともと、日本のIT部門の担当者は社内システムのインフラやアプリケーションに関わる全てを面倒見なければならず、わがままな現場部門のユーザーにも嫌気がさしていた。そのIT部門の担当者の課題を1社ですべて対応してくれるというベンダーが現れたらどう思うだろうか。オービックは見事にその課題を解決したのだ。

一方でテクノロジーはどんどん進化し、今やノーコード・ローコードで開発できる時代だ。言ってみれば素人でもアプリケーションが開発できる時代になってきた。おまけにChatGPTに自然言語で問いかければ、プログラムコード教えてくれる時代だ。サステナブル経営、内製化などと言われ、顧客のシステムへの価値観が「ベンダー丸投げ」から「出来るだけ自分たちで作る」という欧米の流れが日本に浸透すれば、特に最新技術に弱いオービックは厳しくなるかも知れない。

マーケターが仕掛けたバズワードに踊らされてはいけない。

コロナ前後の顧客の動向をみても、在宅やA、ChatGPTなどのバズワードに踊らされ、日本企業が本質を見ている感じはしない。

”失われた20年” この言葉を聞きすぎたせいか、あまり深く考えなくなった人が多い気がする。

・20年間、経済成長していない国はアジアで日本だけ。

・20年間、賃金が上がっていない日本のサラリーマン。

・20年間、少子化で労働人口がひたすら減少している日本。

税金だけがどんどん上がり、実質の手取りは激減している。

サラリーマンの給料が上がるためにはどうすればいいのか?

会社の利益が上がればいいのだ。

扱う商品の付加価値を高めて収入を増やし、無駄な経費をカットして支出を減らす。

これで利益は上がり、従業員の賃金があがる。

簡単なことだ。小学生でも分かる。

が、現実の世界ではどうだろうか。

ITベンダーやニュースのバズワードに翻弄され、リプレースする必要のないERPをリプレースし、

さして必要のないSFAなど買いたがる。

経営者は我が社もこれでDXだと言い、たくさんのお金が流れ出て利益が減少し、

また新しいシステムを覚えなくてはいけないのか…、と現場は不満タラタラだろう。

いまどき手書きで仕訳を記帳している企業を除けば、ほぼすべての企業で大なり小なり業務システムを使っている。

問題は使いこなせていないだけだ。

日本企業で足りていないシステムと言えば経営管理のシステム(EPM)ぐらいだ。

いま一度足元を見直し、絶対に必要なシステムとそうでないシステムを色分けし、棚卸することをおススメする。

それだけで数ポイントの利益が生まれる企業もあるだろう。

最後に

OBIC7の特徴やメリット・デメリットを少しでもご理解頂けたら嬉しく思う。

全てが完全なシステムなど存在しないし、これを導入しておけば大丈夫などというファンタジーもない。

余ほどの事情がない限り、個人的にはバックオフィスの管理系システム(会計・給与・人事)は、奉行シリーズやマネーフォワード、Freeeなどの安くて軽いシステムで十分だと考える。筆者も実はマネーフォワードを使っている。考えるべきはフロント系の営業系システムだろう。こちらは業種業界ごとに特徴があり、さらに国内と海外のビジネス比率に応じて選択肢が全く変わってくる。

国内だけなら国産ERPを選択した方が痒い所に手が届く機能が多いので使いやすいだろう。一方で海外ビジネスが多いのであれば、多少使いにくい点が多いがグローバルERPを選択した方が全社的には最適化するだろう。

自社のビジネスをたな卸し・整理して、最適なパーツの組み合わせを考えていける時代なのだ。ひと昔前の同一システムで揃えなくてもいい時代なのだから。導入してみて、イメージと違えばすぐに解約できるサブスクリプションのクラウドを存分に使い倒すことをおススメする。決してシステムに縛られてはいけない。

この記事が皆様の検討の一助になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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